サウンドスケープとは、サウンド(音)+スケープ(景色・風景)ということで、すなわち「耳で聴く」音の風景ということです。マリー・シェーファーというカナダの作曲家が提唱した考え方です。 風景というのは目で見るものと考えることが多いけれど、実は正確にいうと視覚的景観(ランドスケープ)。音はあまり普段意識していないので、何も音がしていないように思えるときも多いけれど、耳を澄まして聴いてみると、何か音がしている。 都市の環境では音は忘れがちな要素ですが、よく考えると視覚よりもさらに日常的な生活に関係しているのではないかと思われます。 視覚的風景は見ることができるけれど、音の風景は見ることができないのでは? 実は見ることができるひとがいます。観世音菩薩という仏様がいます。省略形は「観音菩薩」です。名前のとおり、音を観ることができるのです。(この場合は観る=感じるという意味でしょうか)。とにかく、サウンドスケープはむかしから観音様にはわかっていたようです。 仏様の宇宙観を描いたものに曼荼羅(マンダラ)があります。金剛曼荼羅といわれる仏様のシステムでは、大日如来を中心に四方向に如来が表現され、これを色や形で表すことができます。これらの意味は、五大といって、地・水・火・風・空という宇宙とわれわれの一体化のプロセスを表しています。たしかに、視覚的に地は大地から黄金(黄色)とか、流れる水(青色)、燃える火のエネルギー(赤色)などのイメージは理解できますが、そそぐ風(緑色)や静寂・沈黙の空(白色か黒色)などは、音の世界で理解したほうが了解しやすいのではないでしょうか? サウンドスケープにおいても究極的には「本当の静寂」を探求しているのです。
【都市公園のサウンドスケープ】
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